2025年2月更新
はじめまして。アクアリウム歴12年目の「イルカ」といいます!
この記事では「海水魚飼育の始め方」を何処よりもわかりやすく、丁寧に、初心者の方でも問題ないように解説します
すぐに本題に入りたい方は下記「目次」から、気になる項目をクリック(タップ)してください。
僕は幼少期の頃は、元々「犬や猫」を飼育したかったのですが、家族のアレルギーの関係で飼育が難しく、淡水魚飼育ばかり飼っていました。

多い時には水槽20個ほどあったかな(笑)
2013年に海水魚飼育を開始し、海水魚の魅力にハマり現在に至るまで約12年間海水魚水槽のみ行い、癒しと楽しい時間を過ごしています。
2013年の飼育開始以来、
・60㎝水槽⇩
・90㎝(スリム)⇩
・オルカ90cmオーバーフロー水槽
と引っ越しやサイズUPをしながら、飼育した魚たちの種類は約40種類を超えました。
そして長生きで寿命まで元気に生きてくれた子、病気で☆になってしまった子、混浴で☆になってしまった子も含め、たくさんの経験を通じて、知識があればもう少し救えた命がある!
と思いその経験を少しでもブログで伝えていけたらと考えています。
- 初心者でも大丈夫なように
- 出来る限りわかりやすく
- 図解(イラスト)多めで
海水魚飼育の始め方を紹介していきます
※同時にブログ初心者の方のよくある疑問
✅海水魚水槽の立ち上げの手順は?
✅おすすめの水槽システムはどれ?
✅海水魚飼育の仕組みは?
✅メンテナンスって何をすればいいの?
こんな疑問も、「全て」この記事で解決していきます
今まで海水魚はもちろん、メダカや金魚も飼育したこと無い人でも全く問題ありません。順番に読んでいけば、誰でも海水魚飼育を迷わず始めることが可能です!

記事の通りにやったら誰でも簡単に出来るから安心して。
大切だからこそ、焦りは禁物だよ!
海水魚飼育を始める前の基礎知識

そもそも海水魚?淡水魚?って
海水魚はその名の通り海水、つまり海に生息している魚になります。
・海水魚=海のさかな
・淡水魚=河川や湖、池などのさかな
大きな違は魚体と周囲の塩類濃度の差から生じる浸透圧の調節方法です。
海水魚とで淡水魚では体の作りが全く異なるため、淡水魚は海水では生きられませんし、海水魚は淡水では生きられません。
『メモ』
・海水魚は、大量の海水を飲んで塩分をエラから排出します。
・淡水魚は、余計な水分は尿として体外に排出しています。
飼育難易度は高いの?
海水魚飼育難易度は、『淡水魚と比べて高い』です。

安心して!昔と比べて今は便利な設備がたくさんあるよ。
飼育法を理解して設備を揃えれば、初心者でも長期的に飼育することは可能です。
そのため難易度は一概には言えず、飼育する魚種や設備の有無、飼育者の経験値などによって異なります。
”海水魚飼育の難易度を左右する要因”
バクテリアの重要性

海水魚飼育=バクテリア飼育と言っても過言ではないよ
海水魚水槽におけるバクテリアは最重要事項です。バクテリアは水槽の水質を安定させ、魚や水草が健やかに育つために重要です。
『バクテリアの役割』
・フンや残りエサ、カスなどの有機物を分解して無害にする
・アンモニアや亜硝酸などの有害物質を分解して除去する
・硝酸塩など比較的無害物質を分解して除去する
そのため海水魚飼育を開始する場合にはバクテリアの環境を整えると同義になります。
『バクテリアがいないとどうなる』
・水質が安定せず、魚が住む環境が整わない
・魚が調子を崩したり、魚の健康に悪影響を与えてしまう
・水が腐り、魚が住めない水槽になってしまう
ではそんなヒーローでもあるバクテリアの繁殖方法はというと
『バクテリアの増殖方法』
・バクテリアが定着しているろ材を使用する
・水温や環境を調整してバクテリアの活性を高める
・エアレーションやこまめな水換えをする
・バクテリア剤を使用する
海水魚水槽にバクテリアを導入する際は、少なくとも2週間~1ヶ月は循環させて、ある程度バクテリアの繁殖を待ってから魚を導入しましょう。
1から始める場合にはバクテリアがほとんど居ない(≒もしくは定着していない)ため、1ヶ月程度は時間が必要になります。
どうしても早めたい場合には、既に住み着いているろ材を貰ったりすると1~2週間程度でも定着している可能性は高いかと考えます。
飼育環境の仕組みってどうなってるの?
大前提として海水魚飼育をする場合には下記「フロー表」のような構図で飼育環境が整います。

バクテリアが育つと
- 残餌/フン等 ⇒ アンモニア(NH₃)
- アンモニア(NH₃) ⇒ 亜硝酸塩(NO₂)
- 亜硝酸塩(NO₂) ⇒ 硝酸塩(NO₃)
このように変化をしていきます。
最後の部分で硝酸塩をどのように水槽外に出していくかが濾過システムのお話になります。

硝酸塩(NO₃)=たくさん蓄積すると有害だよ
濾過の種類
ろ過フィルターの種類と主なろ材、ろ過の仕組みは次のとおりです。
(1)物理ろ過:
水中のゴミや汚れをフィルターでこし取るろ過で、ウールマットなどのろ材が使用されます。
(2)生物ろ過:
ろ過バクテリアの働きを利用して、有害なアンモニアなどの物質を低毒化するろ過です。
セラミックろ材、ゲルろ材、粗目サンゴ砂などのろ材が使用されます。
(3)化学ろ過:
科学的な原理を用いて悪臭や汚れの原因物質を吸着し取り除くろ過です。
活性炭、ゼオライト、リン酸吸着剤などが使用されます。

一般的な水槽は物理濾過と生物濾過の組み合わせが多いよ。
化学ろ過については容量、用法を間違えると取り返しのつかない結果になるので、初心者にはおすすめはしません。
自身の飼育スタイルを考えよう

水槽を選ぶポイント
水槽の種類について

まずは種類について考えるよ
- ガラス水槽
- アクリル水槽
ガラス水槽はアクリルに比べ、透明度が高くガラス面自体は傷が付きづらいのがメリットです。デメリットとしては小型水槽であれば問題は無いですが、アクリル水槽に比べ重量が重いため60㎝水槽以上になる場合には、水槽台と水槽だけで数十キロにもなってしまいます。
アクリル水槽は、アクリル面は傷が付きやすい為、日々のメンテナンスではスクレーパーなどの使用はせずメラニンスポンジ等を使うと良いです。またアクリル水槽の特徴として長期期間使用すると撓む(たわむ)ことがありますので注意が必要です。
水槽のサイズについて

次は水槽サイズだね
現在一般的に市場に売っているものは30㎝~180㎝水槽が多いのではないかと思います。
30㎝キューブ水槽(30*30*30)であれば水の総量27ℓですが、90㎝水槽(90*45*45)であれば総量182ℓと、横幅は3倍でも総量は約7倍近くにもなるため注意が必要です。
水槽の濾過装置(フィルター)について

最後に濾過装置(”重要”)についてだね
- 壁掛け式濾過ボックス
- 外部濾過装置
- 上部濾過装置
- 底面濾過装置
- オーバーフロー濾過装置

あくまで個人的な総合評価を付けてみるよ
ここでは濾過装置の仕組みをイラストも交えてみてみましょう。
壁掛け式濾過ボックス
なんといっても初心者には初期費用が安くて圧倒的におすすめです。

メリット:圧倒的に諸経費も安く、初心者向け
デメリット:ろ材のスペースが少なく、大きい水槽では濾過能力不足となる
外部濾過装置
水槽の中が比較的スッキリしていて、外部フィルターの大きさによって、ろ材の量がたくさん入れることが可能になります。

メリット:水槽をスッキリできる。排水の位置など自由に設置可能
デメリット:外部フィルターの大きさでろ材の量の限界がある。酸素不足になりやすい。
上部濾過装置

メリット:比較的に諸経費も安く、濾過能力もカスタムができる
デメリット:上部フィルターの大きさでろ材の量の限界がある
底面濾過装置

メリット:比較的簡単にセット内容で諸経費も安く、初心者向け
デメリット:ろ材のスペースが少なく、大きい水槽では濾過能力不足となる
オーバーフロー濾過装置

メリット:システムとしては完璧。クーラー、殺菌灯なども隠すことが可能
デメリット:諸経費が高い
ただ壁掛け式濾過が使えるのは小型水槽のみです。
それは圧倒的に濾過能力が少ない為、中/大型水槽では壁掛け式濾過は不可能という理解で問題無いです。
また海水魚飼育においては、底面フィルターは濾過能力不足になる可能性が高くおすすめは出来ないです。
小型水槽 or 大型水槽のメリット・デメリット
小型水槽のメリット・デメリット
場所に困ることなく設置可能
初期費用が安い
掃除などメンテナンスが楽
総水量が少ないので水換えが短時間
たくさんの魚は飼育不可
水質変化が速い
さかなの泳ぐスペースが少ない

一長一短だね。大きい水槽がどうかな?
大型水槽のメリット・デメリット
混泳やサンゴなど自由度が広がる
カラフルで南国の海を再現可能
総水量が多く、水質や水温の変化が少なく管理がしやすい
それぞれの設備費用が高い
場合によっては床の補強などが必要
置けるスペースが限られる
割れたら一大事

実は初心者ほど大きい水槽の方が成功しやすいよ。
費用は掛かっちゃうけど。
海水魚を飼育する水槽を選ぶポイント 海水魚を飼育する上で確実におすすめできる水槽サイズとシステムは、横幅が90センチ以上ある水槽で、ろ過能力の高いオーバーフローシステムです。
その理由は、水槽サイズが大きければ大きいほど水質や水温の変化が少なく管理がしやすい。これにつきます。
濾過システムについて メリット・デメリット
ひとくちに海水魚水槽においてのシステムは一般的にいくつかあります。

少し難しいけど確認していくよ~‼
重要なのは硝酸塩をどのように水槽外に排出していくのかが、システムのミソです。
強制濾過システム(物理濾過)※一般的なシステム

強制濾過システム(物理濾過)のメリット・デメリット
混泳やサンゴなど自由度が広がる
飼育可能数が多い
定期的に新しい海水を足すことで、ミネラルなどが足される。
定期的な水替えが必要
定期的なフィルター交換が必要
強制濾過システムとは濾過の大部分を物理濾過と生物濾過の一部に担わせるシステムです。
アンモニアや亜硝酸塩などの毒性の強い窒素化合物を毒性の低い硝酸塩にまで変換する作用(=硝化作用)で、硝化細菌が好気環境で行う反応となります。
これを活発に行うためには、多孔質のろ材を水通りの良い場所に設置し、そこへ硝化細菌を定着させ、飼育水を循環させる必要があります。
機材としては上部フィルターや外部式フィルターなどが代表的です。オーバーフロー水槽であれば、落水部や水の流れのある場所にろ材を敷き詰めることでも強制濾過システムを組む事が可能となります。
このシステムでは硝化を活発に行わせることで、アンモニアや亜硝酸塩の除去能力は高いと言えますが、結果的に硝酸塩やリン酸塩は徐々に蓄積されてしまいます。これに対しては定期的な換水や吸着剤による化学濾過などを併用する事である程度の水質を保つ事が可能となります。
多くの給餌が必要な魚飼育や栄養塩に認容性の高いソフトコーラルなどの飼育においては、強制濾過システムは相性が良いと言えます。
ベルリン式システム ※中級者以上のシステム

強制濾過システム(物理濾過)のメリット・デメリット
サンゴ中心水槽の場合には
ろ過材が少なくて済む。
水換え回数が激減する
高精度なプロテインスキマーが必須
たくさんの魚は飼育に不向き
定期的なプロテインスキマーの掃除は必要
ベルリン式は海水魚水槽のなかでもサンゴを飼育する際に用いられるろ過方式で、ベルリン式とは、ろ材を使わないろ過方式で、硝酸塩を発生する前に除去できるのが大きな特徴です。

サンプ水槽が必要になるからオーバーフロー水槽のみが可能だよ
一般的なろ過方式では硝化バクテリアによって、有機物がアンモニア→亜硝酸→硝酸塩の順に分解されます。ベルリン式ではプロテインスキマーが作る微細な泡によって、有機物(タンパク質)やゴミの段階で物理的に除去することが可能です。
プロテインスキマーの性能がかなり重要なカギになります。
ハイパフォーマンスのプロテインスキマーです⇩
完全に取り除けるわけではないため、バクテリアの住処になるライブロックを入れることで、硝化バクテリアによる生物ろ過と嫌気性バクテリアによる硝酸塩の分解を促します。
- プロテインスキマーによる有機物の除去
- 硝化・嫌気性バクテリアによる生物ろ過と硝酸塩の分解
この2つのバランスを保ち、水質浄化を実現するのがベルリン式です。
ナチュラルシステム ※中級者以上のシステム

ナチュラルシステムシステム(物理濾過)のメリット・デメリット
サンゴ中心水槽の場合には
自然界に近い環境が再現できる
水換え不要
多くの底砂など多く敷く必要がある
陰気性のバクテリアが必須となる
たくさんの魚は飼育に不向き
ナチュラルシステムも濾過の大部分を生物濾過に担わせる濾過システムになります。
強制濾過と似ているように感じると思いますが大きな違いがあります。それは硝酸塩を水替えでは無く、陰気性のバクテリアによる分解を利用する点です。
陰気性のバクテリアによる分解を促すために、天然ライブロックやライブサンド等をバクテリアの住処(ろ材)として多く用います。この為、水景はその名の通り自然に近い見た目となります。
硝化はろ材に対する水の循環が必要となりますので、ライブロックやライブサンドの表面に水が循環するために水流ポンプは必須です。脱窒はライブロック内部やライブサンド深層の嫌気域で行われます。

陰気性バクテリアが必要だから、底砂は厚く敷くよ
結果として強制濾過システムでは残存する硝酸塩も、このシステムでは窒素まで変換して空気中に逃しますので、非常に清浄な水質を得ることが可能となります
・ライブロック
・ライブサンド
質のよいこの2つが無いと上手く環境が整いませんので、その点が最大のハードルとなります。
またこのナチュラルシステムを成立させるためには大きな前提があります。
それは・・・
それは極力給餌を抑える事です。
そもそも硝化と脱窒できる能力はそこまで高くないので、その能力に見合った分の給餌しか出来ないのです。
この事から、ナチュラルシステムは多数の魚を飼育するのには不向きと言えます。
逆に、給餌が少しで低栄養塩環境を好むSPS飼育などとは相性が良いと言えます。
海水魚飼育にかかる初期導入費用について

初期コストは安くても¥20,000~くらいかな。
海水魚水槽を始める最低限の設備はこんな感じです。
水槽
海水魚の水槽には、オーバーフロー水槽やアクリル水槽などがあります。
また背景の色や大きさにより印象も大分異なります。
大きさ,サイズのイメージ⇩

- 30cm水槽
- 60cm水槽
- 90cm水槽
- 120cm水槽
素材
- ガラス水槽
- アクリル水槽

総水量によって飼育可能な魚の数や大きさが変わるから良く考えよう
ヒーター・クーラー・水温計など
海水魚水槽でのヒーター・クーラー・水温計は、水槽内の水温を管理・制御する装置です。
『ヒーター』
水槽内の水温を一定に保つ役割があります
設定した温度に水温を温めて保温します
サーモスタットとセットで使用することで、一定の範囲内で水温を保つことができます
ヒーターは夏場は使用しませんが、冬場は必須のアイテムとなります。
『クーラー』
水槽内の水温を下げる役割があります
急激な温度変化を避けることで、魚や他の生物の命を守ります
ペルチェ式クーラーやチラー式クーラーなどがあります
反対にクーラーは夏場は必須アイテムとなり、夏場の出番はないです。
水温計:水槽内の水温を感知する装置です
ヒーターやクーラーを使用する場合は、サーモスタットを使用して水温を管理・制御します。サーモスタットは水槽内にセンサーを入れて温度を感知し、ヒーターやクーラーの電源を自動的にON・OFFします。
カルキ抜き剤・バクテリア剤
海水魚水槽で使用する人口海水を作る際、水道水と人工海水のもとを混ぜて作るのが一般的ではあるけど、通常の自宅などの水にはカルキ(次亜塩素酸カルシウム)が含まれています。
そのためカルキ抜き剤を使用してから人工海水を作るのようにします。
水道水に含まれるカルキ(=次亜塩素酸カルシウム)は、病原微生物を殺菌する消毒剤として使用されています

『注意』:カルキ抜き剤の主成分『チオ硫酸ナトリウム』は魚にとって有害物です。
投入量は必ず説明書に記載してある規定量を厳守だよ。
人工海水の素・比重計
多くの比重計は1.020~1.024が比重の合格ラインとされており、一般的には1.023が推奨されています。
これは比重と海水魚の食欲が密接に関係していることが理由として挙げられます。海水魚は比重が低すぎると餌の食べが悪くなり、高いと食いつきが良くなる傾向にあると言われています。
比重を低めにしておくと生体の急激な成長や水質悪化を抑制することができるのですが、低すぎると生体の健康に悪影響を与えてしまいます。そこで間を取った1.023という比重が一般的に推奨されているというわけです。

我が家では比重を1.023~1.024とやや高めにしており、この数値を皆さんにも推奨しています。理由は海水魚の体色をより美しく鮮やかにするためだよ
実は太平洋の比重は1.020程度で計測されているのですが、紅海やカリブ海では1.024~1.030と高めの比重が保たれています。南洋に生息する魚たちの体色が鮮やかなのは、海の比重が高く保たれている影響なのです。
比重を上げると水質が悪化しやすいので水換えをこまめに行う必要はありますが、魚を美しく色揚げしたい場合は比重を1.024~1.025に保つことをおすすめします。
床材
通常の海水魚水槽なら、底砂の厚さは2~3cmくらいで十分です。
ただしイエローコリスなどがいる場合は、5cm程度

僕は寝るときに底砂に潜って寝るよ!
チンアナゴなど普段から砂にもぐる性質のある魚の場合は10cm~15cm程度の厚さにします。

僕は常に潜ってるよ!
ろ過フィルター
海水魚水槽用のろ過フィルターには、外部式フィルター、上部式フィルター、底面式フィルター、スポンジフィルターなどがあります。
ろ過フィルターには、物理ろ過、生物ろ過、化学ろ過などの種類があり、ろ過の仕方や水槽の設置場所、ろ過能力などが異なります。

初心者には外掛けフィルターの海道河童はおすすめだよ
こちらは初心者にはおすすめで、フィルターで物理濾過と生物濾過が可能で、プロテインスキマーも同時にできちゃう優れものです。
エアレーション
海水魚水槽でのエアレーションとは、水槽内に酸素を送る装置で、気泡が登る様子から「ぶくぶく」とも呼ばれます。酸素不足を防ぎ、水槽内の環境を良好に保つ効果があります。
エアレーションを行うことで水槽内に空気を送り、気泡に含まれる酸素が水中に溶け込みます。また、水面を揺らすことで外部からも酸素を取り込むことができます。
エアレーションを行うメリットは次のとおりです。
- 酸素不足を防ぎ、生き物の活性化を促す
- 水温を若干下げる効果がある
- 水流を発生させて魚にとって心地良い環境を作ることができる
- 均一に泡が出ることで水槽自体の観賞性を高めることができる
特に外部式フィルターを使用する場合は、溶存酸素量が低くなるため、エアレーションを併用するとよいでしょう。
プロテインスキマー
海水魚水槽でのプロテインスキマーは、海水中のタンパク質や細菌などの汚れを除去するろ過装置です。水質を良好に保ち、サンゴなどの水質に敏感な生き物を飼育する際に役立ちます。
”プロテインスキマーの仕組み”
- 海水は淡水に比べて粘性が高いため、細かい空気を吹き込むと不純物が泡状になります
- プロテインスキマーは、この性質を利用して、水中のタンパク質などの汚れを吸着除去します
- バクテリアによって分解される前にタンパク質を除去することで、硝酸塩などの栄養塩の蓄積を抑えます

海水魚水槽にはプロテインスキマーの相性が良いよ!
”プロテインスキマーの効果”
フィルターの負担を軽減できる
水換えの頻度を減らせる
水の黄ばみやにおいを抑えられる
コケの発生を抑えられる
病原菌の発生を抑えられる
水中の酸素量が増える
プロテインスキマーを使用する際は、エア調整や定期的なメンテナンスを行う必要があります。
水槽台・照明器具
海水魚水槽の照明器具には、水槽全体を照らす照明や、生体を魅力的に照らす照明などがあります。また、紫外線殺菌灯も使用できます。
水槽全体を照らす照明
- 丸型照明:
スタンドを使って吊り下げたり水槽の淵に挟んだりして使用します。水面と距離を空けられるため、水温調節やメンテナンス性に優れています。 - 水中LED照明:
水槽の壁面に張り付けて使用します。キスゴムがついており、ガラス面にぴったりと固定できます。
生体を魅力的に照らす照明
- 水中LED照明:
生体をより近くに設置できることと、水槽内の任意の高さに固定できるため、さまざまな生体を美しく演出できます。 - LEDライト:
白・赤・青・緑と多彩な種類があり、より本来の色を際立てられます。
紫外線殺菌灯
- 循環水に対して殺菌効果を発揮します。水中感染する病原菌が原因だとしたら、殺菌効果によって他の魚に感染する可能性を下げることはできます。
海水魚を水槽に迎え入れる際の注意点
海水魚を迎え入れるのは水槽を立ち上げから2~3週間後
今までご紹介した手順で水槽の中の準備ができたら、ライブロックを入れヒーターやろ過フィルターも動かしながら、2週間程度、水槽水を循環させましょう。
この作業で、バクテリアがある程度増殖するのを待ちます。
2週間ほど経過したら、検査キットを利用して、アンモニア濃度や亜硝酸塩濃度を測定してください。

突然、茶コケやプランクトンが発生しても慌てないで!
水合わせをして海水魚を水槽へ!
海水魚を購入すると、透明なビニール袋に入れてくれるお店が大半です。
その袋からいきなり水槽に生体を移すことは、絶対にしないでください。
- ビニール袋ごと水槽に浮かべる(30分程度)
- ビニール袋の水ごと別のバケツに海水魚を入れる
- 水槽の水を30~60分かけて細いチューブで水合わせをする
生体が苦しんでいないか、ぐったりしていないかなどなど、常に注意深く観察してください。

バケツの中にもエアレーションを忘れずにね!
海水魚が元気そうであれば、ウロコなどを傷つけないように目の細かいアミですくって水槽へ移してあげましょう。
海水魚の飼育方法は?

飼育方法について4つ解説していくよ!
エサのやり方
海水魚にエサを与える際は、食べ残しが出ない量を与えることが大切です。
食べ残しの餌は水槽内や濾過器に溜まり、水質悪化の原因になります。
海水魚にエサを与える際のポイントとしては次のようなものがあります。
食べ残しが出ない量を与える
食べ残しは網ですくって水槽から取り出す
魚の好みに合わせて適切な餌を与える
魚の種類や大きさによって最初は少しずつ与える
海水魚に与えるエサには、粒餌(人工乾燥飼料)、冷凍フード、生エサなどがあります。
餌を与えるタイミングは、魚の種類や環境、状況によって異なります。
※生体導入後の魚は環境に慣れるまで餌を口にしないことがある
※水換え直後は消化不良から体調を崩してしまうこともあるため、餌やりは控えましょう
水換えの方法
海水魚水槽の水換えは、淡水水槽と基本的なやり方は同じです。
ホースを使って水槽の水を抜いて、新しい人工海水で交換します。
水換えの際には、次のような点に注意しましょう。
水換えの方法は次のとおりです。
- ホースを水中に沈めて、ホースの中を水で満たします。
- ホースの一方を水槽から出し水槽の水面より下になるようにします。
- ホースのもう一方を排水する場所(洗い場など)に接続します。
- ホースの押さえていた親指を離して、水を勢いよく出します。
- 新しい人工海水で水槽を満たします。
水換えの頻度は?
海水魚水槽の水換えの頻度は、2~3週間に1回程度が目安です。
水槽の大きさや飼育している魚の数、ろ過フィルターの性能などによって、頻度や換水量は異なります。
水換えの注意点としては、次のようなものがあります。
- 水換えは一度に全部交換してはいけない。水質の急激な変化は魚にとって大きなショックを与える可能性があります。
- 水換えの際に、水槽のお掃除やメンテナンスも一緒に実施します。
- 水換えの後に、硝酸塩の値が下がらない場合は、バクテリア剤を入れて安定させるのがよいです。
水換えの際は、水槽内の水質を測定して、有害成分が多い場合は水換えの間隔を短くしましょう。また、水温の変化にも敏感な海水魚のため、新しい水は水槽の飼育水と水温を合わせてから注ぐようにします。
照明器具の点灯時間
海水魚水槽の照明器具の点灯時間は、1日あたり8~10時間程度が目安です。朝点灯、夕方消灯が理想ですが、夜型の生活をしている場合は昼点灯、夜消灯でも問題ありません。
照明を点灯する時間帯は、日照時間を含めて8~10時間にする必要があります。たとえば、朝の5時に点灯した場合は13時、もしくは15時で消灯します。

我が家は12時~夜10時まで点灯だよ
照明を点灯することで、海水魚の体色を際立たせたり、海中のイメージを演出したりすることができます。また、生体のバイオリズムを整えることで、健康を保つことができます。
照明タイマーを使用すると管理がしやすくなります。
海水魚を長生きさせるための4つのポイント

4つとも全部大切だよ!
(1)十分な濾過を行う
海水魚を長生きさせるコツは、濾過能力の高いフィルターで水をきれいに保つことが大切です。
海と違い、魚たちは環境が悪くても限られたスペースから逃げられません。そのため常に24時間365日濾過能力の高い環境を整えることが必要になります。
極端な話、毎日水換えができる人は設備にそこまで大金を叩く必要はないかもしれませんが、平日はお仕事などで忙しい人こそ、スペックを高い設備を整えることが重要になります。
”ろ過フィルターの選び方”
海水魚を飼育する場合は、海水専用の濾過槽を使用しましょう。
ろ過槽の大きさは、水槽の水量の約1/10程度が目安です。
密閉式外部フィルターは酸欠になり、好気性バクテリアの繁殖が期待できません。
また、定期的に水換えをして、水質の劣化を防ぐことも大切です。
(2)水流を作る
海水魚を長生きさせるには、水槽に適度な水流を発生させて、自然に近い環境を作り出すことが大切です。水流ポンプやサーキュレーターなどの機器を使って、水槽全体に水流が行き渡るようにしましょう。
池や湖とは異なり、海には常の潮の流れがあります。できる限りその環境に近くしてあげることで魚のストレスが軽減、バクテリアに活性に繋がってきます。
”水流の作り方”
”水流の役割”
水槽内の環境を健全に保つ
淀みがなくなり、水の汚れや環境の改善につながる
サンゴや石灰藻などの養分を運ぶ
”水流の死角にならないように設置する”
澱んだ個所があると魚やサンゴの病気が発生しやすくなる
サンゴのレイアウトによっては、水流ポンプを使って強い流れを作る
我が家の使用している水流ポンプです⇩
(3)水中の酸素不足に注意する

『注意』:淡水水槽より海水水槽の酸素不足になりやすいよ
海水魚を長生きさせるには、水中の酸素不足を防ぐことが大切です。酸素不足の原因としては、水量が少なかったり、ろ過フィルターの能力が低かったり、水温が高かったりなどが考えられます。
酸素不足を防ぐには、次のような対策が考えられます。
- エアレーションやプロテインスキマーで酸素を供給する
- 水温を上げ過ぎない
- 適切な頻度で水換えをする
- ろ過フィルターの能力を高める
- 水草や熱帯魚の数、水槽サイズを見直す
酸素不足のサインとしては、魚が水面で口をパクパクさせていることが挙げられます。
また水温を適温内で維持することも大切です。特に夏場に水温が上昇すると溶存酸素が減り、酸欠になりやすくなります。
(4)定期的にアンモニア濃度を測定する
海水魚を長生きさせるには、定期的にアンモニア濃度を測定して、アンモニア濃度が0.25mg/L以上にならないように水換えを行うことが大切です。
『アンモニア濃度が魚に与える影響』
・水中のアンモニア濃度が0.25mg/L以上になると危険です。
・長期間この濃度に晒されると死亡します。
・水質の悪化に敏感なエビ類はさらに危険で魚よりも早期に死亡します。
もし測定してアンモニア濃度が高い場合には
生体の様子を観察しながら、定期的に水槽の1/3~1/4程度の水換えを。
さぁ次は立ち上げ方法についてだよ!
海水魚を責任持って最後まで飼育をしよう
生き物を飼うということは、その生き物の命を預かる責任を負うことです。生き物を飼うには、その生き物の特性や習性を理解し、健康や安全を確保する必要があります。また、周囲の人や環境に迷惑をかけないように管理することも大切です。
【生き物を飼うことの責任】
- 海水魚が健康で快適に暮らせるようにする
- 海水魚が命を終えるまで適切に飼養する(終生飼養)
- 他人に危害を加えたり周辺の生活環境を悪化させない管理をする
- 動物による感染症の知識を持つ
【生き物を飼う前に考えること】
- 海水魚が命を終えるまで適正に飼い続けることが出来るか
- 動物の習性等を正しく理解しているか
- むやみに繁殖させないようにしているか
上記のような事項は初心者、中級者問わず常に意識をしていかなければいかなければいけない点だと思います。
※プロフィールはこちら⇩
現在3階建てのオーバーフロー水槽を使用中