今回の記事では多くのアクアリストのお悩みトップクラスではないかと思う『コケ』について考えてみたいと思います。

コケは「光」と「栄養分」さえあれば成長するよ!
基本的には他の生物の害になるものでもありませんので、それほど神経質になることも無いと思います。
しかしながら水槽としての見栄えが悪い為、日々のメンテナンスに不可欠な事項だと思います。
そんなアクアリストの悩みの1つであるコケについて、種類や対処法を考える記事となります。
生物ろ過が安定してくるとコケの発生量も減少傾向が多いです。週1~2回程度で水槽壁面にコケが付くのをスポンジなどで掃除する程度でしたら正常と言えるでしょう。しかし、毎日掃除が必要なほどコケが生えるのは環境的に良くありません。
自身のコケの発生が多い場合には是非対策を実践してみてはいかがでしょうか?
- 海水魚水槽におけるコケ(苔)の4つのタイプ
- それぞれの特徴について
- それぞれの対策方法
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海水魚水槽におけるコケの種類とその対策
海水魚水槽に生えるコケは主に4種類があります。

・茶ゴケ(珪藻)
・緑ゴケ(緑藻)
・赤ゴケ(藍藻)
・石灰藻
ここでは、その種類別の対策を考えます。
茶ゴケ(=珪藻)
水槽壁面やライブロックに生える、茶色いコケです。
ほとんどが珪藻で、ガラスと同じ”ケイ酸”の骨格を持っています。

我が家でも悩みの種となっているよ(汗)
”特徴”
・ケイ酸(人工海水)が多く含まれている場合に発生しやすい
・水槽セット直後に発生しやすい
・茶ゴケ自体は、ほとんど無害
人工海水の塩を溶かす水にケイ酸が多く含まれている場合は、常時発生しやすいコケです。
また、水槽セット直後~半年程度までの、水質が不安定な期間や、硝酸やリン濃度が高い場合に大発生することが多いです。
ろ過に対して「餌や魚の量が多すぎ」 or 「ケイ酸過剰」が原因と思われます。
茶ゴケ自体は、タンクメイトへの害はほとんど無いのですが、2-3日に1回のコケ掃除をしなければ、観賞の妨げになってきます。
これは水質に問題があると思いますので、何らかの対処を行いましょう。
対策方法
・ライブロック導入時に、ライブロックの掃除をしっかり行っておく。
・生物に食べてもらう
・照明の時間を少なくする、照明を弱くする
・コケ防止剤を使用してみる
・RO浄水器を使用してみる
水槽をセットして時間が経つと、自然に落ち着いてくる場合が多いのですが、
条件によっては悪化していくこともあります。
赤ゴケ(=藍藻)
赤ゴケはラン藻の仲間で「シアノバクテリア」と呼ばれることもあります。
ほかのコケとは違い、核膜を持たない、細菌(バクテリア)に近い藻類です。

シアノバクテリアはあまり水槽環境には良くないよ!
”特徴”
・ヘドロが溜まりやすい水流の よどみ に発生しやすい
・成長速度はとても速い
・有機物が蓄積されると発生しやすい
この赤ゴケが発生すると、赤紫色の薄い膜が、底砂やライブロック表面を覆います。
条件がそろってしまうと、成長の速さは茶ゴケ以上!という厄介者です。
対策方法
・生物に食べてもらう
・こまめにコケを吸い出す
・淀みを少なくする
・給餌量、または魚の量を減らす
・アンチレッド(赤ゴケ抑制剤)を使用する。

※我が家では赤ゴケが発生したことがなくアンチレッドは使用したことが無いです。
緑ゴケ(=緑藻)
緑藻の仲間です。
”特徴”
・水質がほぼ良好な状態に保たれている時に発生する
・水質が安定してくると出てくる場合が多い
・成長速度はそこまで早くはない
ウミブドウなどの観賞用海藻も緑藻の仲間であり、緑コケの発生は水質がほぼ良好な状態に保たれている証とも言えます。そのため「予防」というよりは、掃除方法を工夫するのが良いでしょう。
対策方法
・生物に食べてもらう
・コケ掃除用具で削り取る

貝などは柔らかい緑コケなら食べてくれるよ!
石灰藻
石灰藻は他のコケとは違い、わりとアクアリストに歓迎されるコケです。

別名:サンゴ藻なんて言ったりするよ!
”特徴”
・水槽壁面やライブロック表面に生える
・水質の良い水槽で良く成長する
・ライブロックなどにも石灰藻が移る
・石灰藻自体が硬い
硝酸や、リン酸が少なくて清浄で、かつ、カルシウム、微量元素が豊富な水質でよく成長します。
このコケが安定して生える水槽は、石サンゴ飼育に適した水質になっている証拠とも言えます。
また美しいので、あえて添加剤「カリブシー・パープルアップ」で増やす方も居ます。
対策方法
・スクレーパーなど硬いもので削り取る
・パープルアップで増やすことも可能
このコケは、観賞価値が高いので、水槽前面や側面に生えた部分だけを除去すれば良いのです。

アクリル水槽にスクレーパーは傷が付くからNGだよ
コケ(全般)に立ち向かういくつかの方法をご紹介
目の細かい底砂を厚めに敷く
厚めに敷いた底砂の中が酸素の少ない還元状態に保たれると脱窒菌が働くようになります。この細菌はコケの栄養分となる、硝酸、リン酸を取り除きます。ただし沢山の魚を入れすぎますと、脱窒も追いつかなくなりますので、ご理解くださいませ。
魚の量を減らし、サンゴや海藻とのバランスをとる
水槽内で「魚の量」と「窒素やリンを吸収する好日性サンゴの量的なバランス」がとれれば、コケの発生は最小限になります。
- 好日性サンゴや海藻の量=魚数匹のイメージ
好日性サンゴや海藻が海道システム水槽内にぎっしりと入っている場合、魚はカクレクマノミ2匹+ギンポ1匹+ハゼ類2匹+小型エビ数匹程度に抑えておくと、硝酸、リンの蓄積がほとんどなくなり、コケの生え難い状況になりました。
殺菌灯を使用する
殺菌灯はコケの胞子を殺し水中の有機物を分解することで、コケ抑制効果を発揮します。また飼育水の黄ばみを取って透明度をアップさせる上に魚病を予防することができます。一方、細菌を食べると言われているミドリイシ類には、殺菌灯は使用しないほうが良いとされています。
ろ材を海水で軽く洗う
ろ材に付着したヘドロ分を洗い流すことでコケの栄養分を取り除くことが出来ます。洗い流す水は海水を使用しないとバクテリアまで死んでしまうため注意が必要です。
多めの換水を行う
飼育水中のコケの栄養分を減らすことができます。多めと言っても一度に全部の海水を換水するのは環境変化が起きるため、数日に分けて行うことを良いです。
底砂のヘドロを除去する
底砂掃除用ホースを使用して堆積したヘドロを除きます。ヘドロ内に蓄積したコケの栄養分を除去することでコケを減らせます。また換水を一緒に行うとさらに良いです。
リン酸除去剤、ケイ酸除去剤を使用する
コケの栄養分となる、過剰なリンやケイ酸を取り除くことでコケを低減させます。但しそこそこの費用が掛かります。
コケ取り生物を使用する
下記の生物の活用が一般的です。
- 水槽壁面のコケ:
シッタカ貝、草食ギンポ、コブヒトデ など - ヒゲゴケ:
草食性ヤドカリ、エメラルドグリーンクラブ(カニ)、フシウデサンゴモエビ、ヒレナガハギ類(海道システムでは魚が大きすぎて不向き)、レタススラグ など - 砂の上に生えるコケ:
ベントス食性ハゼ(ミズタマハゼが主力)、ナマコ、マガキガイ、ヤドカリ など
ギンポ同士ではケンカしますので、ギンポ+シッタカ貝のような組合せが良いでしょう。
コケ防止添加剤を使用する
各種コケ防止剤が市販されているので、これらを使用するのも手です。
- 茶ゴケ、ヒゲゴケ・・・・・マリンタンククラリファイヤー
- 赤ゴケ(藍藻)・・・・・・アンチレッド
さいごに
我が家の水槽でもコケ(特に茶コケ)が悩みの大半となっています。
参考になるかは分かりませんが、我が家の水槽では足し水は浄水でRO浄水器などは使用していなく、あまり換水もしない為、リン酸と硝酸塩の割合が多いと考えています。
しかしながら、コケの発生を抑えるという発想より、毎日コケ取りなどのメンテナンスを行う道を選んだので特段問題無いと思っています。
海水魚飼育を始めたばかりで、原因不明での大量コケ発生などは水質などに問題がある場合が多いので、その場合にはコケの発生原の追求をすることをお勧めします。
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