海水魚飼育の醍醐味のひとつが、異なる種類の魚たちが泳ぐ美しい水槽を作ることですよね。
しかし、混泳は簡単ではなく、相性や環境を考慮しないとトラブルが発生することもあります。
今回は、海水魚の混泳を成功させるためのポイントを詳しく解説します。

混泳の基本を押さえよう!
混泳の基本ルール
性格の相性を考慮する
海水魚には温和な種類もいれば、攻撃的な種類もいます。
同じ水槽に入れる魚同士の相性を事前に調べ、適切な組み合わせを考えましょう。
気の強さ | 一例 |
---|---|
比較的温和 | カクレクマノミ、ハタタテハゼ、マンジュウイシモチ、デバスズメ etc… |
やや気が強い | フレームエンゼル、イナズマヤッコ etc… |
攻撃的 | アデヤッコ、大型ハギ類 etc… |
テリトリー意識の強さを考慮する

特定の魚は縄張り意識が強く、後から入れた魚を攻撃することがあります。
特にヤッコ類やハゼの仲間は注意が必要です。
体の大きい生体の方が、力関係が強い

基本的には魚の体高が大きいほど力関係が強くなることがセオリーです。
”力関係”
大きい魚 > 小さい魚
そのため、ルリスズメは縄張り意識が強い魚になりますが、体の大きいイナズマヤッコなどには縄張り争いでは勝負にはなりません。
同種同族の相性を考慮する
魚の種類によっては同種同族が複数いることによって混泳が難しくない場合があります。
例えば
『大丈夫なパターン例』
・デバスズメを複数導入する
・マンジュウイシモチを複数導入する
『NGなパターン例』
・ヤッコ類(フレームエンゼル 等)を複数導入する
・ベラ類(ホンホメワケベラ 等)を複数導入する
2. 混泳しやすい魚の組み合わせ
相性の良い組み合わせ例

- カクレクマノミ + ハタタテハゼ + マンジュウイシモチ(温和な魚の組み合わせ)
- フレームエンゼル + イナズマヤッコ + シマハギ(やや活発だが共存可能な組み合わせ)
- アデヤッコ + ヒフキアイゴ + キイロハギ(大型魚を含む組み合わせ)
これ以外にも様々なパターンでの混泳が可能ではありますが、あくまで一例でのご紹介です。
避けたほうがいい組み合わせ例

- 同じ種類のヤッコ同士(例:イナズマヤッコとアデヤッコ) → 縄張り争いが発生
- 同じ種類のベラ同士(例:イエローヘッドと水玉ハゼ) → 小さい魚が攻撃される可能性
イラストのような水槽は最悪です。
ベラは本来1水槽に1匹が理想的で、ヤッコも同種同族系はケンカの末、最終的に☆になる可能性も非常に高いです。
このような水槽にはならない様注意が必要です。
3. 混泳トラブルを防ぐための工夫
餌の分配を工夫する
魚ごとに食性が異なるため、餌の与え方を工夫しましょう。
活発な魚ばかりが餌を食べてしまうと、弱い魚が餓死してしまうこともあります。
・水槽の複数の場所で餌を与える
・沈下性の餌と浮遊性の餌を併用する
ちなみに、
我が家の水槽では特段浮遊性のエサを食べる子がいないため、メガバイトSをミックスして与えています。
水槽のレイアウトを工夫する
- ライブロックを積み上げ、隠れ家を多く作る
- 広い遊泳スペースを確保し、魚同士が適度な距離を保てるようにする
ex.ライブロックを積み上げ、隠れ家を多く作る

ex.広い遊泳スペースを確保し、魚同士が適度な距離を保てるようにする

新しい魚の導入時のポイント
- 先住魚が攻撃しないよう、導入時は隔離ケースを使用する
- 一度に複数の魚を入れることで、攻撃のターゲットを分散させる

混泳トラブルが起きたときの対処法
(1)隔離水槽で飼育してみる
(2)水槽内で隔離してみる
(3)ライブロックのレイアウトを変更してみる
(4)新たに生体を導入をしてみる
(5)一度メイン水槽から生体を出して、戻す順番を変えてみる

解説していくよ!
我が家では全部試したことあるよ
(1)隔離水槽で飼育してみる
これは水槽内外問わず、隔離水槽で一時飼育をしてみることです。
水槽内で透明な隔離水槽を使用すると、魚同士が隔離水槽に寄ってきて威嚇などしてきた場合は、そのまま継続をおすすめします。
しばらく様子をみて、お互いに全くの興味が無くなってきた場合には再度混泳を試してみる価値がありそうです。
(2)水槽内で隔離してみる
こちらについてはセパレーターなどを使用して、水槽内を分けてしまう方法です。

魚の大きさ、隔離の期間によっては、隔離水槽の狭い空間ではストレスが掛かってしまう場合には、水槽自体を1/2や1/4の部分をセパレーター(⇩下記リンク)などで仕切ってしまうのも一案です。
(3)ライブロックのレイアウトを変更してみる
混泳が上手くいかない場合に、元々のレイアウトを変更してみることもおすすめです。

これは、先住者の魚はライブロックなどを既にテリトリーにしているケースが多く、新参者がテリトリーに入ることで威嚇することがあります。
そのためレイアウトを再構築することで、全員フラットなスタートをさせることで、混泳が上手くいくケースがあります。
(4)新たに生体を導入をしてみる

実際に我が家でも実施したのですが、もとも大きさの同じような同種のヤッコが日々バチバチの威嚇をやり合っていましたが、あえて大きさの異なるアデヤッコを導入したことで、新参ボスの存在で全くの争いが無くなりました。
(5)一度メイン水槽から生体を出して、戻す順番を変えてみる
基本的には最後に水槽に入れる魚が1番アウエーの環境になります。
これは人間で置き換えると、引っ越し後の転校生なようなものです。
そのため、あえて水槽内に生体を全部一旦出し、弱い魚から戻すことで、先にテリトリーやライブロックの地形などを把握させてから、徐々に強い魚を入れていきます。
また特に効果的なのは、このタイミングで(3)のライブロックのレイアウトを変更を実施するのが良いです。
ただ単に水槽内から出し、入れる順番を変更しても、地形が変わってなければ、もともとテリトリーにしていた場所は、当初の魚のテリトリーになるケースが多いです。
4. まとめ
海水魚の混泳は慎重な計画と工夫が必要です。
適切な組み合わせや環境を整えることで、美しい水槽を維持できます。
魚の性格やテリトリー意識を理解し、レイアウトや餌の工夫をすることで、ストレスの少ない環境を作りましょう。
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